アルギン酸

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アルギン酸とは

アルギン酸は水溶性の多糖類で、食物繊維の一種。食物繊維と聞いて、文字通り繊維状になっている水に溶けないものをイメージする方も多いと思いますが、実は様々な種類の水に溶ける食物繊維があるのです。

アルギン酸は多糖類という、糖(単糖)がたくさんつながった構造の物質です。多糖類には、他にも植物の細胞壁に含まれるセルロースや、甲殻類などに含まれるキチン、イモ類などに栄養分として蓄えられているデンプンなどが含まれています。腸内環境を整える効果があるといわれるアルギン酸。その具体的な特徴について調べました。

アルギン酸の特徴

アルギン酸の大きな特徴として、水を含むと「ぬめる」点が挙げられます。アルギン酸は海藻に多く含まれており、コンブのヌルヌルはアルギン酸が主要な成分となっています。

アルギン酸はマンヌロン酸とグルロン酸という2種類のウロン酸によって構成されています。これら2種類のバランスは、海藻の種類や部位などによっても異なり、ぬめりの強さに大きな影響を与えています。海藻の中では、アルギン酸は様々な種類のミネラルと結合し、やわらかいゼリー状で細胞の間を満たしています。ゆらゆらと海中で揺れながら育っていく海藻のしなやかさは、このアルギン酸の持つ特徴によるものです。

アルギン酸の効果

アルギン酸には、健康面に対して様々な効果が期待されています。その主な効果は次のとおりです。

腸内のバランスを整え、便通を改善させる

アルギン酸をはじめとした水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサとなります。腸内細菌が食物繊維を代謝するときに酸性の物質が作られるため、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌が育ちやすい環境となり、善玉菌が増え悪玉菌が減ることによって腸内フローラのバランスが良くなるのです。これによって便通が改善されたり、おならの臭いが抑えられたりする効果が得られると考えられます。

また、アルギン酸の「ぬめり」は、適度に水分を保持するため、便が柔らかくなります。さらに便の量が増えることで腸内を刺激し、より排出しやすくなる効果もあります。

血圧を下げる

アルギン酸の中でも、特にアルギン酸カリウムを摂ることで、血圧を下げる効果が期待できます。人の細胞の外側にはナトリウムイオンが、細胞の内側にはカリウムイオンが多く含まれており、細胞内外の水分バランスをコントロールしていますが、そこで塩分を摂り過ぎるとナトリウムイオンとカリウムイオンのバランスが崩れ、必要以上に細胞内へ水分が入ってきてしまいます。こうして細胞が膨らむと、血管が圧迫されて、血圧が上がってしまうのです。

アルギン酸カリウムを摂ると、胃酸によってアルギン酸とカリウムが分離し、アルギン酸はナトリウムイオンと結合して体外へ排出されます。一方、残ったカリウムはカリウムイオンとして体内に吸収され、血中のナトリウムを排出します。この2つの排出効果により、血圧が下がると考えられています。

血糖値の急上昇を抑える

体内でゲル状になったアルギン酸は、一緒に食べた食物とともに消化管内をゆっくりと移動します。さらに消化酵素と食物が触れにくくなるため、糖の吸収がおだやかになり、食後の血糖値の急上昇を防ぐことができます。海藻はカロリーも低く、満腹感が得られやすいため、食事に取り入れることで食べる量を抑える効果も期待できます。

コレステロールを包み込んで吸収しづらくする

食物とアルギン酸を含む食品を一緒に摂ることで、体内ではアルギン酸のぬめりが食物を包み込みます。その際、コレステロールも包み込むため、コレステロールの吸収を妨げることになります。比較実験では、コレステロール値の高い方は大きく下がり、コレステロール値が平常値の方は大きな変動は見られなかったことから、血中コレステロールを改善する効果があると考えられます。

消化酵素の働きを活性化させる

アルギン酸ナトリウムを摂取すると、腸内のアミラーゼやプロテアーゼといった消化酵素の働きを高めることで、一緒に食べた食物の消化を促進させる効果があります。

有害物質を体外に排出する

アルギン酸がアルカリなどと結びつきやすい性質を利用して、放射性ストロンチウムの排出効果を確認する実験が行われています。アルギン酸ナトリウムを摂取後に放射性ストロンチウムを飲むと、体内残留率が8分の1になるという実験結果が出ています。

また、その後のラットを使った実験では、アルギン酸を10日間投与したあとに放射性ストロンチウムを投与すると体内残留率が顕著に減少し、アルギン酸を長期間投与するほど放射性ストロンチウムの体内残留率が低くなることから、アルギン酸には放射性ストロンチウムの体内への取り込みを抑える効果が期待されています。

アルギン酸の種類

純粋なアルギン酸は酸性で、水には溶けません。しかし、実際に食用や工業用に用いるときは、アルカリで中和してアルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムなどの形にすることで、水に溶けるようになります。アルギン酸の種類には次のようなものがあります。

アルギン酸(単体)

単体では、白〜淡黄色で、酸性です。水には溶けません。

アルギン酸ナトリウム

水によく溶け、粘りのある液体となります。一般的に、栄養成分としての「アルギン酸」は、このアルギン酸ナトリウムを指すことが多いようです。

アルギン酸カリウム

アルギン酸ナトリウムと似た性質を持ち、歯科で歯型を取るときの印象材に用いられます。

アルギン酸アンモニウム

アルギン酸ナトリウムと似た性質を持ち、セラミックのバインダーとして用いられます。

アルギン酸カルシウム

基本的には水に溶けず、一部のアルカリを用いることで溶かすことができます。最近では、傷口を覆って乾燥させずに治癒させるための創傷被覆材としても使用されています。

アルギン酸エステル

アルギン酸プロピレングリコールエステルとも呼ばれ、食品衛生法で食品添加物に指定されています。

アルギン酸の抽出方法

アルギン酸は、今のところすべて海藻から抽出されています。特に、コンブやジャイアントケルプなどの大型の海藻が主に利用されています。

原料の海藻は洗浄したあと、アルカリを加えて熱します。そうすると、海中で溶け出さないように不溶性のゼリー状になっていたアルギン酸がアルギン酸ナトリウムに置き換わり、外に流出します。これをろ過し、酸を加え、脱水・乾燥することで、不溶性のアルギン酸を得ることができます。アルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムをつくる場合は、アルギン酸をナトリウムやカリウムで中和して生成することができます。

アルギン酸の活用

工業的につくられたアルギン酸は、生活の様々な面で活用されています。

食品

アルギン酸は古くから使われており、一定の安全性が認められるため、既存添加物として食品への利用が認められています。また、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル(アルギン酸エステル)が食品添加物として指定されています。

粘度を調節できることから、増粘剤やゲル化剤、乳化剤、安定剤など、食品の品質を高める機能を持っています。具体的には、パンや麺類の食感を良くし形を保持したり、ドレッシングの乳化を安定させたり、乳酸菌飲料の分散を安定させたりするなどの役割で用いられます。

また、特定保健用食品として、コレステロール排出機能を謳った食物繊維飲料も商品化されています。

医薬品

歯科分野で歯の型取りに使うほか、手術糸や傷の保護材、錠剤の崩壊剤、胃壁の保護剤としても用いられています。

化粧品

化粧品のとろみや保水にも用いられます。「落ちない口紅」はアルギン酸が配合されており、唇の表面に膜をつくることで口紅の色がカップ等につくのを防いでいます。

工業用

生地を染める際の糊料や、鉄鋼業における溶接棒のバインダー、飼料など、幅広く使われています。

アルギン酸が含まれる食材

アルギン酸は主に褐藻と呼ばれる藻類に含まれています。褐藻は茶褐色をした藻類で、コンブやワカメ、ヒジキが代表種です。褐藻が茶褐色をしているのは、光合成に使われるクロロフィルの他に、フコキサンチンというカロテノイドが含まれていることによるものです。このフコキサンチンは熱に弱いため、湯通ししたワカメは赤みが抜けた緑色となるのです。

また、褐藻以外では、紅藻のサンゴモなどにも含まれています。さらに、アゾトバクターなど一部の細菌によって部分的に酢酸エステル化されたアルギン酸が作られることも確認されています。

海藻にはアルギン酸のほか、フコダインという硫酸化多糖の一種も含まれており、ともに腸内環境を整えることで知られています。

アルギン酸の摂り方

コンブに豊富に含まれているアルギン酸ですが、効率的に摂るには、極薄に削られた「とろろ昆布」がおすすめです。昆布の細胞壁が壊れるため、アルギン酸などの食物繊維や、旨味成分が外に溶け出しやすくなります。汁物などに直接入れ全て食べることで、水溶性成分も失うことなく摂ることができます。

とろろ昆布を食べる場合、一日の目安は約3g。現在は小分けパックやジッパー付きのものも売られているため、毎日のお味噌汁などに手軽に加えることができます。他の食品の吸収に関わる効果を期待する場合は、食事の始めに摂るのが良いでしょう。

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