腸内環境から考える便秘の原因と改善方法

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腸内で起きている便秘の仕組み

食べ物の栄養素は小腸などで吸収され、食物繊維などの消化されなかった物質が水と一緒に大腸に送りこまれます。大腸に到達するときは、ほぼ水のような状態で、大腸を移動するうちに水やミネラルが吸収され、最後は食べ物のカスだけが残り、それが便になります。

このとき、便が非常にゆっくり移動すると、たくさんの水分が吸収されることになるため、コロコロとした硬い便になり、便秘を引き起こします。便の移動が遅くなってしまう原因はいくつかありますが、最も多いのが、運動不足や栄養不足などにより便を押し出す力が弱まるためです。ほかにも、ストレスが原因となり、便を押しだす自律神経が乱れるケースや、日頃から排便を我慢して肛門付近に異常が起こるケースなどもあります。

腸内環境の悪化が
便秘の原因

善玉菌の減少が便秘の原因になる?

体質(腸の形態)や生活習慣の影響で、腸内細菌のバランスが崩れて善玉菌が減少したり、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化したりすると、便秘になることがあります。

そのため、食事や運動といった生活習慣だけでなく、腸内フローラや腸内環境の見直しは、便秘症状の改善を目指す上で重要なポイントの1つであると言えるでしょう。

腸内環境のバランスを
改善するには?

便秘を改善するには、腸内の善玉菌を増やし、短鎖脂肪酸を作り出して腸内環境を整えることが大切です。短鎖脂肪酸は、善玉菌の栄養源となる食物繊維やオリゴ糖を直接送りこむことで増やせます。また、善玉菌の働きを活発にさせる、乳酸菌や発酵食品を積極的に摂取し、必要に応じてサプリメントを活用するのも有効です。まずは食生活を見直し、腸内環境を整える食べ物を摂っていきましょう。

腸内環境を整えるための
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腸内で便秘解消を助ける『短鎖脂肪酸』とは

便秘の解消には、腸の運動を活性化させ、便通をスムーズにすることが必要です。実は今、注目を浴びているのが、腸の動きを支え排泄トラブルを改善する働きを持っている「短鎖脂肪酸」という有機酸の一種が注目されています。

短鎖脂肪酸は、腸内を適度な酸性に保ち、腸内環境を整える善玉菌が優勢に働く環境を作るうえ、便を押し出す力をしっかり機能させ、大腸を刺激して排便をスムーズにします。

腸内細菌が短鎖脂肪酸を作る

短鎖脂肪酸は、食べ物から摂り入れるものではなく、ビフィズス菌やバクテロイデス菌などの善玉菌が生成しています。これらの善玉菌が、腸内にある食物繊維やオリゴ糖を発酵し、短鎖脂肪酸を作り出しているのです。短鎖脂肪酸が増えると腸内が酸性になり、善玉菌が暮らしやすい環境になるため、善玉菌たちは食物繊維やオリゴ糖を見つけると、積極的に短鎖脂肪酸を作ります。

長期的に続く便秘について

便が出にくかったり、なかなか便意を催さなかったりという便秘は、生活習慣や食事の内容によってたまたま起こることもあります。その為、必ずしも便秘症状が現れたからと言って、直ちにそれが病気であるとは限りません。

しかし、便秘の症状が長期間にわたって続く場合、慢性便秘症である可能性があります。

慢性便秘症とは?

慢性便秘症とは、便秘状態がずっと続いている状態。その特徴としては、以下のものがあげられます。

  1. 兎糞・硬便など固い便
  2. 便が出にくい
  3. 残便感がある
  4. 排便回数が週3回未満

こうした症状が長期間にわたって改善されない場合、慢性便秘症と診断される可能性があります。

ここで注目したいのは、慢性便秘症の条件として、必ずしも「腹痛」の症状が挙げられるとは限らないという点です。

また、これらの症状が同時に「2つ以上」ない場合、毎日決まって便が出ていなかったとしても、慢性便秘とは診断されないということもポイントです。

慢性便秘症の病態

画像検査から診断される便秘の病態分類として、いくつかのパターンが挙げられます。

直腸性便秘

トイレを我慢する癖などが原因で発症する便秘です。若い女性や寝たきりの高齢者、なかなかトイレに行けない職種の人などに多く、乳幼児や小児の便秘でも非常に多い便秘でもあります。

病態としては、直腸に便が残っているにも関わらず、それを感じたり、便意を催す反応(直腸反射)がなくなっていたりしている状態であり、直腸内の便を浣腸によって排出した上で、排便習慣を見直すことで症状の回復が見込まれます。なお、程度によっては服用薬が処方されることもありますが、原因は直腸反射の喪失であり、刺激性下剤は必要ありません。

けいれん性便秘

身体的・精神的ストレスによって、便が出にくくなる体質的な便秘です。

旅行中や仕事中は便が出ないのに、帰宅すると便が出るようになったり、平日は便意がないのに休日になるとトイレに行きたくなったりと、状況や環境に影響されて症状が現れることが特徴の1つです。また、人によっては便が出ない期間が1週間程度続くこともあり、中には数ヶ月間も便が出ないことも。

これは、ストレスがかかると腸の一部がけいれんして狭くなってしまい、便が移動しにくくなってしまうことが原因です。

基本的には、排便回数が多くなくても、残便感がなく、すっきりと便が出れば、それほど問題はありません。しかし、腸管の形状などによっては排便が困難になってしまう場合もあり、運動や食事といった生活習慣を見直したり、浣腸や刺激性下剤が併用されることもあるでしょう。

腸管形態異常便秘

生まれつき結腸や直腸に「ねじれ」などの形態異常がある人で、さらに運動不足などが原因となって起こりやすくなる、体質的な便秘です。

腸管のねじれ部分などに便が引っかかることで便の移動が妨げられているので、症状がひどい人だと腹痛を感じる人も多く、また刺激性下剤によって無理矢理に便を排出させようとすると、腹痛が激化してしまう恐れもあります。

症状緩和には便が通りやすくなることが必要であり、適度な水分摂取や、食事内容・運動習慣の見直し、腸内環境の改善などが効果的です。

弛緩性便秘

刺激性下剤を長期間服用し続けることで、体がその状態に慣れてしまい、下剤を使わなければ排便することができなくなってしまっている便秘です。

弛緩性便秘は特に治りにくい便秘の1つと考えられており、便秘の専門医の間では、安易な刺激性下剤の服用は行うべきでないとされています。

その他の便秘

生活習慣や体質的な原因によって生じる便秘(機能性便秘)が最も多いとされていますが、その他にも、大腸がんやポリープなどが腸内にできることで起こる「器質的便秘」や、甲状腺などの病気による「症候性便秘」、薬剤の副作用が原因の「薬剤性便秘」などがあり、便秘の症状や原因は多種多様です。

また、女性ホルモンの影響が腸の動きに影響して生理前に便秘になる女性がいるなど、性別による違いも見逃せません。

便秘は決して馬鹿にできない症状

便秘そのものは、大腸がんのリスク要因にならないと言われている一方で、刺激性下剤の長期的な服用によって大腸粘膜が黒色化する「大腸メラノーシス」が引き起こされることがあり、さらに、刺激性下剤の服用によって大腸がんリスクが上がるという研究データも報告されています。

便秘は、必ずしも深刻に考えるべき病気とは言い切れません。しかし、便秘の原因や症状の程度によっては根本的な治療が必要であり、また安易な下剤の服用は患者にとって状況を悪化させるリスクもあります。

その為、慢性的な便秘やひどい腹痛を伴う便秘などに悩んでいる場合は、きちんとした知識を有している専門医に相談することも重要です。

便秘の専門治療(便秘外来)

便秘外来とは?

便秘外来とは、便秘の治療を専門的に行っている診療外来です。自分ではなかなか改善できず、重症化の恐れがある場合には、専門医の診察を受けることも視野に入れましょう。

便秘の一般的な検査

便秘外来では、まず一般的な検査が行われます。

血液検査

血液検査によって、便秘など排便機能障害の原因として考えられる、様々な病気の可能性を調べます。

レントゲン検査(腹部X線検査)

腸閉塞や腸管の形態異常などを画像によって診断するだけでなく、腸内に便がどのくらいたまっているのかを調べるためにも、レントゲン検査は有効です。

大腸内視鏡検査

大腸が狭くなっている可能性や、その原因となる病気などについて調査する方法として、大腸内視鏡検査が行われます。特定の状況下で腸管が細くなるけいれん性便秘でなく、常に大腸が狭くなってしまっている場合、便秘改善にはそれらに対する根本治療が必要です。

便秘の専門的な検査

一般的な検査に加えて、便秘外来ではさらに詳細な検査が行われます。

大腸通過時間検査

レントゲン画像に写るカプセルを飲み込みし、ある程度の時間が経過した後でレントゲン写真を撮ることで、そのカプセルが腸内にどれだけ残っているかを確認する検査です。

カプセルが数多く残っている場合、大腸の動きが遅くなって、便秘になっている可能性があるでしょう。

排便造影検査

レントゲン画像に写る造影剤で、便に似たペースト状のもの(疑似便)を作り、それを肛門から注入した上で、便座で排便する時の様子をレントゲンで撮影します。

これによって、便がどのような動きで排便されるかを確認し、腸内の異常や問題の有無を調べることが可能です。

便秘外来での治療方法

便秘外来での治療方法には、いくつかの段階があります。

生活習慣・食事内容の改善

便秘を改善する上で、一番最初に行うべき、そして最重要の治療法が、生活習慣や食事内容の見直しです。

たとえば、食物繊維が多く含まれる食材を食事に取り入れたり、腸内環境を整える為に乳酸菌やビフィズス菌などが配合されたサプリで善玉菌を摂取したり、運動の頻度を上げるといった生活習慣の改善は、便秘治療だけでなく、生活習慣病やうつ病など、様々な病気の予防としても有効です。

薬物療法

便秘の治療に使われる薬は大きく分けて2種類。便の量を増やして排便を促す薬と、大腸の動きを刺激して便を体外へ押し出す薬(刺激性下剤)があります。

ただし、刺激性下剤の長期服用は、弛緩性便秘といった症状を引き起こす恐れもあり、注意しなければなりません。 また、肛門付近まで来ている便を排出するためには、浣腸や座薬が用いられることもあります。

バイオフィードバック療法

バイオフィードバック療法は、排便する感覚や筋肉をトレーニングする治療法です。たとえば便に見立てた風船を直腸に挿入し、それをいきんで外に出すといった訓練を行います。

洗腸法

肛門から専用チューブを挿入して、清潔なぬるま湯などを流し込んで腸内の便を洗い流す方法です。物理的に便秘を解消する即効性の高さが特徴ですが、腸の中身を洗い流してしまうということは、腸内細菌も洗い流してしまうということでもあります。

手術

大腸がんやポリープ、腸の形態異常によって便秘が生じている場合や、腸閉塞などが原因で便秘になっている場合、手術が必要になるケースもあります。

下痢の専門治療(下痢外来)

下痢外来とは?

便秘とは対象的な症状ですが、腸内環境の悪化は下痢を引き起こす可能性もあります。そのような人のために開設された、下痢治療に特化した外来が下痢外来です。

慢性下痢

下痢は水分量の多い便が何度も出る状態ですが、2週間以内に症状が落ち着く「急性下痢」と、症状が4週間以上続く「慢性下痢」のふたつに分けられます。

急性下痢の原因に関しては、細菌やウィルス感染による胃腸炎などが多く、炎症性腸疾患や大腸がん、甲状腺異常、そして過敏性腸症候群といったものが、慢性下痢の原因として挙げられます。

過敏性腸症候群(IBS)とは?

過敏性腸症候群(IBS)とは、腸そのものに異常がないにもかかわらず、慢性的な腹痛や便秘、下痢と言った症状を繰り返す病気です。

原因としては、ストレスによる自律神経の不具合や、腸内環境の悪化に伴うホルモンバランスの乱れなどだと考えられています。

過敏性腸症候群の治療

過敏性腸症候群の原因の大半は、ストレスや生活習慣であると言われており、その改善には生活習慣や食生活の見直しが重要です。

ただし、ストレスの軽減やライフスタイルの見直しは、一朝一夕にいかない場合も多く、下痢外来では過敏性腸症候群の症状と上手に付き合いながら、徐々に症状改善を目指す様々な治療法が行われます。